2024/6/12(水)に工学部5学科を対象とした札幌琴似工業高等学校・札幌工業高等学校高大連携教育を実施しました。参加高校生の数は、機械工学科6名、情報工学科10名、建築学科6名、都市環境学科6名、そして電子工学科は9名でした。
電気電子工学科からは、佐々木教授がF314実験室において「CADを利用して半導体デバイスを含んだ回路を設計・実験してみよう!」を実施しました。
最初に、パワーポイントを使って簡単な電気電子工学科の紹介を行いました。電気電子工学科でもAIを学ぶことができることはもちろんのこと、最近、Rapidus株式会社の北海道進出に伴って注目を浴びている半導体について、電気電子工学科には「知る・作る・使う」のすべてがあることを紹介しました。
そしていよいよ本題となるテーマについて、解説と実験を交えた授業を行いました。
今回、テーマとした電子回路は「RC発振回路」です。
最初に、抵抗RとコンデンサC、そしてスイッチを組み合わせた充放電回路に対して、コンデンサの両端の電圧を監視しながらスイッチをタイミングよく切り替えることで、持続的に波形を出力できることを紹介しました。
そして、その電圧の監視とスイッチングを実現する方法については、幾つかの方法が考えられることを説明しました。
その方法の一つとして、小型コンピュータのArduino UNOに内蔵されているAD変換器とプログラムとしてのif文を組み合わせることでも実現できることを、実演を交えて紹介しました。
次に、半導体デバイスの一つであるオペアンプを電圧比較器として動作させることで、ハードウェアのみでリアルタイムに電圧の監視とスイッチングを行えることを説明し、その回路をフリーで利用可能な電子回路シミュレータ「LTspice」を使って、実際に参加高校生に設計・配線してもらいました。そして、そのシミュレーションの結果を波形として観察することで、正しく動作することを確認してもらいました。
そこで、次に「LTspice」で設計・動作確認した回路が、実際にその通りに動作するかどうかを確認してもらうために、ブレッドボード上に同じ回路を組み立て、その動作波形をデジタル・オシロスコープを使って確認してもらいました。
最後に、RC充放電回路の抵抗Rを光センサの一つである光導電セル(CdS)に変更することで、光センサに照射される光の量によって、RC充放電回路の充放電スピードが変化し、スピーカーを通して出てくる音の高低が変化することを体感してもらいました。
このように今回の授業では、RC発振回路をプログラムで実現する方法とハードウェアのみで実現する方法について高校生に紹介しました。そして、電気電子工学科ではハード(電気電子回路、センサ等)もソフト(プログラミング)も学ぶことができることから、将来、何らかの問題解決をする際に、最適なハードとソフトの組み合わせで実現できるスキルを身に付けられることを伝えました。
授業が終了し、F314実験室を出ていく際に、「おもしろかったです」と言ってくれた高校生がいたことが印象的でした。
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